北辰一刀流では、清掃を大切な修行と捉えています。
清掃をすることで、心が磨かれます。一斉に始め、一斉に終わることによって、協同の意識・和の精神が育まれます。
バケツの汚れた水を、植物に与えることによって、生き物へや自然への関心・崇敬する心が育ちます。また、大勢でやるので、自分はどの場所を担当すればいいか考えることによって、分担と責任の大切さ、気づかいの心が養われます。
さらに、どうすれば仲間より遅くならないで済ませることができるかを考えることで、段どりの大切さが身に着き、無駄を省く合理的視野が培われます。邪魔な物を移動して拭き、元に戻すとき、どう配置すれば安定するか、美しいかと考えることによって、整理整頓の習慣、美的感覚が磨かれます。
他人の剣道場を、トイレまでも我が家以上に綺麗にすることによって、差別の心がなくなり、平等・博愛の精神が生まれます。そして、真剣に取り組んだ後の喜びを得たとき、労働の尊さが分かり、無心・無我の尊い悟りが得られるのです。
因みに、北辰一刀流では、稽古前の準備運動を禁止しています。清掃が全身運動ですから必要がないのです。時間の節約にもなってます。